忍者ブログ

[PR]:猫小屋日記

<学生戦争>幽×怪人 「女王蜂の女」:猫小屋日記


[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

<学生戦争>幽×怪人 「女王蜂の女」

■企画元
 学生戦争ったー

■登場人物
 海野 幽<ウンノ ユウ>
 水山 怪人(赤軍版)<ミナヤマ カイト>








 ゴソゴソ、ゴソゴソ。小さな籠の中で、虫たちがうごめいている。
海野 幽(うんの ゆう)は、その傍らで、毒物の抽出作業を行っていた。

 毒は、自然界のごくありふれたものに存在している。幽は、それを学校の誰よりも詳しく知っていた。時折山へ出向いては、毒草、毒虫などを採集し、持ち帰り、それを武器としていた。毒を使えば、非力な幽でも辛い戦いを生き抜くことができるからだ。

「相変わらずこの部屋は凄いにおいだな。」

 不意に、背後から声がした。幽が振り向くと、そこには赤い面を手にした水山 怪人(みなやま かいと)が立っている。幽はため息を一つつくと、もう一度机に向かい、毒の整理を再開した。

「無視か、ふぅ…。ハンミョウ、いらないのか?」
「要る。そこに入れといて。」
「はいはい。」

 怪人は数歩歩くと、ハンミョウたちがうごめいている虫かごへ、手にしたそれらを放り込んだ。

「いつ赤面隊に入る?」

 怪人は虫かご眺めながら、幽に語りかけた。赤面隊を作ったのは、怪人の師であり、そして、他でもない幽の父だった。幽は赤軍に籍を置いてはいるものの、まだ何処の部隊にも所属していない。実質何も戦果を挙げておらず、そのうえ、スパイとはいえずっと黒軍側で戦いを続けている幽の立場は、赤正規軍のお偉いさんに疑われ、日に日に危うくなっていた。怪人は幽を兄弟のように思っていた。怪人は、幽のそんな立場を心配していたのだ。

「入るなんて言ったことあったっけ?」
「他に行くところ、ないだろう。」
「あるでしょ、いくらでもね。このまま黒になってもいい。」
「お前…」

 師の想い、自分の意思、活動を無為に考えているかのような一言に、怪人が振り向き、幽をにらみつける。しかしはじめに目線を向けていたのは幽の方だった。父の亡き後、赤面隊は瓦解するかと思われた。しかしこの怪人はその操り人形のように、父亡き後も赤面隊として活動している。正義面して、考えている振りをして、しかし本当は、この男は誰よりも思考できていないのだと、幽は感じていた。得体の知れない怪人(かいじん)。どこから来たかもわからず、ただ世を恨み、殺戮を繰り返す恐ろしい男…。

「ハッ」
 幽は、此方をにらみ続ける怪人を見て、鼻で笑って見せた。

「何だ」
「何でもないよ。本気にして、馬鹿じゃないの?」
「ふん…」

 怪人はそれ以上追及しないようだったが、納得もしていないようだった。しかし睨むことは止め、歩き回りながら、辺りの野草、茸などを見て回っていた。気持ちを落ち着かせているのだろうと、幽にはそう見えた。

「そこにあるだろ、仮面。」
 幽がそう言うと、怪人は足を止めた。

「どこに?」
「ほら、そこの横…違う違う、右のほら、本の、そうそれ。」

 怪人は、本とフラスコの間に挟まれたそれを手に取った。赤い仮面。スズメバチを模した真新しいそれは、高貴な女王を感じさせるような、凛とした顔つきをしていた。

「入る気は、あるんだな。」
「当然だろ。アンタには任せられないしね…危なすぎて。アタシが隊長をやる。」
「何?」
「だから何本気にしてんの?」
 呆れたように言い、幽は再び机の上に目線を落とした。怪人は仮面をそっと戻すと、部屋の出入り口に向かった。

「誰もアタシを縛れないよ。」
 怪人が扉の前辺りに来たとき、幽は怪人に声をかけた。

「時代がそれを許すかな。」
「許されるさ。人間は自由に生きるように出来てる。」
「…また来るから、そのときに、いつ赤面隊に入るか聞かせろよ。」
「アタシはアタシの好きにやるって、言っただろ。」

 しばしの沈黙、二人とも、目線を合わそうとはしなかった。

「そうも言っていられない日が、来るに決まってる。」
「そうやって決め付けて、それで上手く行かなかったらどうするつもり?」
「その時はその時だろう。」
「皆、アンタみたいに狂ってないんだよ。赤面隊皆が、わが身を犠牲に出来るとは思わないことだね。」
「…また来る。」

 古びた扉が開き、閉まる音がした。ゴソゴソ、ゴソゴソと、ハンミョウたちのうごめく音が聞こえる。

「何事も変わるんだよ。決まってなんか無い。前と今は違うんだ。」
ゴソゴソ、ゴソゴソ。
部屋は相変わらず、異臭を放っていた。
PR

Comment

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード

プラグイン

ブログ内検索

カレンダー

08 2017/09 10
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

猫小屋

最新記事

カテゴリー

バーコード

最新コメント

[02/20 もの]
[02/19 赤色狐]
[11/21 赤色狐]